「我,港を見る(Video portum)」惑星の軌道決定に生涯を捧げたケプラーが50才の頃,1623年に友人への書簡に書いた言葉.この後1627年に『ルドルフ表』といわれる著作で地動説の優位を確実にしました.彼が港を見るまでにどんな苦労があったのか?50才にし…
光の直進性は当たり前か 近代光学の成立に大きく貢献したイブン・アル・ハイサム『光学』では、光の基本的な性質は全て実験や観察で確認をとっている(ことになっている)のだが、直進性についてもいく通りもの実験や観察をあげている。9世紀の「アラブの哲学…
現代の科学に「近い」理論 我々科学者が昔の科学を語るとき、ついつい現代と表面上似た理論に入れ込んでしまいがちである。学問的な説として失敗していることは明らかでも、「発想は素晴らしい」などと思ってしまう。古代においても、地球中心説よりは太陽中…
古典期ギリシャの球体説 地球球体説の起源は、古代ギリシャである。ピタゴラス学派あたりが言い出したらしいが、原子論者のレウキッポスやデモクリトスは円筒状としていて、この説もなかなか人気があったらしい。球体説が支配的になるのは、アリストテレスが…
光学と近代科学 近代にいたる科学史の概説は、力学を軸に説明するすることが多い。近代科学の誕生はニュートン力学の成立史で語られ、19世紀末からの変動も量子力学と相対性理論、いずれも力学の革新である。力学史こそは、我々素人愛好家にとって、科学史の…
中国文明の光学の歴史をざっと振り返ってみる。 数年前、中国が量子通信衛星を打ち上げたとき、その名前の元になったのが戦国期の思想家墨子だった。彼の学派による『墨子』「経下」及び「経説下」に光学に関する八つの条文があるからだ。特に、その中のピン…
科学史の解説で、「地動説は天動説よりもシンプルに惑星の逆行などを説明する」といった説明は多い。確かに惑星の見かけの運動は、惑星固有の運動と、観測者の居る地球の運動に分けて理解するほうが理解しやすい。惑星ごとに異なる逆行の振幅も、地球との相…
物語で科学革命をドラマチックに描くとき、話の都合上、前の時代はうんとけなしておかないといけない。古代のプトレマイオスやアリストテレスをもまとめて叩くこともあるが、もう一つのシナリオとして「衰退と再生」の物語がある。つまり、古代の科学が中世…
中国の天文学は、やや遅れて発展した。 西方の数理天文学は、古代メソポタミアにはじまる。これがギリシャ~インド~アラビア~ヨーロッパと継承されていく。対して中国では、ほぼ一独自の発展を遂げる。(もちろん、外来の影響はあった。) だが、立ち上が…
どっちかというと、「なぜものは落ちるのか」という常識をぶち壊すような問いを立てた事の方がよほど重要な気がする。普通の人は理由を求めずに「当たり前だろ」としか思わないだろう。— 科学哲学たん/敷衍真理 (@kagakutetsugaku) 2022年1月22日 アリスト…
唐突なんですが、天動説が間違っている、という時、古典力学は間違っている!というのに似た引っかかりを感じる — QmQ (@gejiqmq) 2022年1月8日 天動説は間違っている」という言い方には、古典力学が間違っている、というのと同じ程度に違和感を感じる、とい…
山本義隆氏は、カリスマ的な物理教育者で、また科学史の著作も多い。『熱学思想の史的展開』などは、私も受験勉強の憂さ晴らしで随分と読み込んだ。今となっては、彼の著作は書店で少し眼を通すだけになってしまった。ところが最近、表題の本がネットにもよ…
日本で初めて作られた暦は、江戸時代も中頃、17世紀後半に渋川春海が編んだ、貞享暦だとされる。この改暦は数年前、映画にもなった。13世紀の中国、元朝で編纂された授時暦を参考にしたとされるが、実は状況はもうちょっと込み入っている。 どういうことかと…
これは、ちょっと前の連ついをまとめたものです。 表題のことに関して「そんなこと知ったことか!」的な勢いの良いツイートが流れてきた。どうやら、谷村先生のこれに反応したらしい。 エルミートだが自己共役ではない演算子に対しては、i, ii, iii のいずれ…
こんなツイートがあった: ルクスとルーメンってもとはこんな宗教的な区別があった語なんか pic.twitter.com/d1AIh3ZCxa — 貴族 (@hasegawa_fusao) 2021年11月11日 今は明るさや光量の単位であるルクス(lux)、ルーメン(lumen)は、中世から近代初期にかけて「…
以下は、数ヶ月前の連続ツイートをまとめたものです。 以下のような記事をみつけた: eetimes.itmedia.co.jp この記事は、コペルニクス直前の状況がテーマである。興味深いテーマに触れながら、しかしまた色々と勘違いの多い記事でもある。とりあえず、その…
数の歴史の話は面白い。 近代科学は数量関係の把握は命なので、今の数のシステムの成立は大事すぎるほど大事な話で、これはいろんな意味でインドやメソポタミアに遡ることになる。 位取り記数法やゼロ、負の数の威力はいうまでもないのだが、1よりも細かい数…
Fisher情報量は、微小に離れた二つの確率分布の距離を表す指標として、情報幾何で用いられます。それは、 「Fisher情報量が大きいとモデルは、より正確に確率分布が推定できる、つまり、異 なった確率分布同士がよりよく識別できる」 からです。つまり、二つ…