2024-01-01から1年間の記事一覧

それでも地球は丸くない~中国人の大地観

地球は丸い。子供ですら知る常識です。しかるに高度な文明を誇った中国においては、ほとんどこの説は知られていませんでした。このことは、中国の数理天文学の水準を考えると驚愕すべき事実だと思います。 一寸千里法とその破綻 中国でも古来、場所によって…

人類は、複雑な金星の軌跡をどうやって解明したか

このエントリーは、以下のポストを膨らましたものです。金星の軌道は離心率が極端に小さくて、他の惑星たちより一桁小さい。ほとんど円みたいなもの。ところが、金星の見かけの運動の説明は複雑で、古代から理論家を悩ませ続け、ケプラーの楕円軌道を用いた…

黄緯の問題と地動説の誕生

入門的な天文学史では、近代初期の変革を惑星軌道の二次元的な形状の問題として語ることが多いと思います。天動説(地球中心説)から地動説(太陽中心説)への変革の解説でも、ケプラーの楕円軌道(第一法則)や面積速度一定の法則(第二法則)の説明でも、軌…

メモ;ボエティウス『音楽教程』の解説を読んでみた

講談社学術文庫から、ボエティウス『音楽教程』の邦訳が出ました。音楽といっても、この本においては音楽的な実践の位置は低く、数理科学の一分科なのです。私の音楽理論史への興味(といって何を読んだでもないんですけど)もそちら方面のことで、特に比や比…

メモ:『雪華図説』以前のこと

江戸時代、雪の結晶にハマったお殿様がいました pic.twitter.com/TnqpPS8NWe— 笹井さゆり/Sayuri Sasai (@chiyochiyo_syr) 2021年12月19日 土井利位『雪華図説』(1832年)が『北越図譜』に引用されたことが、雪華文の流行を引き起こした…という話を聞くので…

六花と雪の結晶の贈り物

雪の結晶が綺麗だったので息子と鑑賞した❄️☃️❄️ pic.twitter.com/eo9VHdJmjx— さな@2Y👦🏻 (@tsuyoiko_papiko) 2023年12月31日 私が雪の結晶に興味をもったのは、高校受験の勉強をしていたときに、肉眼でも意外と見えるのだという短文を読んでからです。その年の…