2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧

古代原子論者の視覚論

現代の科学に「近い」理論 我々科学者が昔の科学を語るとき、ついつい現代と表面上似た理論に入れ込んでしまいがちである。学問的な説として失敗していることは明らかでも、「発想は素晴らしい」などと思ってしまう。古代においても、地球中心説よりは太陽中…

地球球体説

古典期ギリシャの球体説 地球球体説の起源は、古代ギリシャである。ピタゴラス学派あたりが言い出したらしいが、原子論者のレウキッポスやデモクリトスは円筒状としていて、この説もなかなか人気があったらしい。球体説が支配的になるのは、アリストテレスが…

光学と科学史

光学と近代科学 近代にいたる科学史の概説は、力学を軸に説明するすることが多い。近代科学の誕生はニュートン力学の成立史で語られ、19世紀末からの変動も量子力学と相対性理論、いずれも力学の革新である。力学史こそは、我々素人愛好家にとって、科学史の…

中国の光学史

中国文明の光学の歴史をざっと振り返ってみる。 数年前、中国が量子通信衛星を打ち上げたとき、その名前の元になったのが戦国期の思想家墨子だった。彼の学派による『墨子』「経下」及び「経説下」に光学に関する八つの条文があるからだ。特に、その中のピン…

プトレマイオスの天動説のメリットは

科学史の解説で、「地動説は天動説よりもシンプルに惑星の逆行などを説明する」といった説明は多い。確かに惑星の見かけの運動は、惑星固有の運動と、観測者の居る地球の運動に分けて理解するほうが理解しやすい。惑星ごとに異なる逆行の振幅も、地球との相…